ピックアップレーサー記者コラム

ピックアップレーサー記者コラム

3941 池田浩二

賞金ランキングは、現在8位(2023年10月15日現在)。セカンドステージからの参戦は十分手が届く位置にいる。
「地元の大スター」として誰もが認める正真正銘のアスリートは、そのレースセンスやテクニックで往年のファンをうならせるだけではない。ヤングファンの多くに「イケコウ!」として、魅力が浸透している。2023年のボートレースオールスターファン投票第1位がその証左だ。

「レースがキレイ」「置かれた状況を受け入れる」「モーターが出ていなくても何とかして連に絡んでくる」「姿が端麗」「見た目がカッコいい」「発言がニヒルな割に、茶目っ気がある」「後輩に優しい」「人との壁がない」「どこからでも勝てる」などの声をしばしば聞く。その支持は、いずれも的を射ている。

地元常滑は通算V27。そのうち記念タイトルは以下のとおりだ。
2008年3月 54周年記念 イン逃げ
2019年2月 65周年記念 イン逃げ
2019年4月 66周年記念 イン逃げ
勝つ時の圧倒的な強さは他に類をみないものがある。

ただ、すべてが順風満帆な訳ではない。2022年2月の東海地区選手権競走(常滑)では優勝戦で痛恨のフライングを切っている。そのリベンジを果たすとともに、3年連続14回目のグランプリ出場も確定的としたいシリーズだ。


4337 平本真之

賞金ランキングは現在15位(2023年10月15日現在)。圏内に位置しているとはいえ予断を許さない状況だ。
今年は4月と8月の地元常滑優勝を含めV4。3月のびわこ秩父宮妃記念特別競走優勝でランクアップしている。また、徳山のSGグランドチャンピオンでは優勝戦に進出、6着とした。

野球少年は高校時代に心身を鍛えられ、プロの素養をたたき込まれている。それは挫けない精神力。苦境にあってもあきらめず歩を進める「意志の力」だ。たとえ劣勢モーターを引いたとしとしても、いやそういう時こそ笑顔で過ごすのが平本真之。モーターや展開のせいにしないところが頼もしい。

常滑はこれまで通算V12。2015年3月の61周年記念で地元記念Vを果たしているが、その時の水上パレードは水面際にどこまでもファンの笑顔が続く感動的なものだった。「感激しました…」は本心。今度はこの大会で実現したい。

そのレースは言うまでもなくコース不問。約3年間(2020年10月~2023年10月16日)の実績は以下の通りだ。
1コース3連対率 93.5%
2コース3連対率 62.1%
3コース3連対率 61.3%
4コース3連対率 59.3%
5コース3連対率 41.4%
6コース3連対率 43.8%

常滑を感動の渦に巻き込む地元の雄に期待したい。


4586 磯部誠

賞金ランキングは現在第2位(2023年10月15日現在)。10月17日時点でトップの馬場貴也との差は1200万円弱である。
「自分は一戦一戦のタイプ。先を見て行動することはないです。レースのグレードに関係なく、いつも目の前のレースに集中しています」と語ったのは、SG初Vを成し遂げた徳山の第33回グランドチャンピオン優勝報告会でのこと。「同じ失敗をしないようにしていますし、しないタイプだと思います」もその席での発言だ。つまり、一見派手に見えるが実は堅実なタイプなのである。

今年の優勝はこのグランドチャンピオンと9月の三国周年記念。中盤以降4連勝したGⅠレースで体得したのは勝ち切るレースへのリズムづくりだった。

今や「常滑の顔」となった磯部誠だが、そのレースは先輩の池田浩二や平本真之と共通しており自在性が高い。データは以下の通りだ。(2020年10月~2023年10月16日)
1コース3連対率 87.5%
2コース3連対率 71.5%
3コース3連対率 69.2%
4コース3連対率 62.5%
5コース3連対率 66.3%
6コース3連対率 39.7%

インだけでなく、3コースや5コースといった「攻めるコース」が主戦場の磯部誠がシリーズを牽引(けんいん)する雄姿に期待したい。


3590 濱野谷憲吾

東都のエースをいわれて久しいベテランだが、決してイン戦を主戦場としているわけではない。2020年10月から今年10月16日のコース別成績が、それを如実に物語っている。以下のとおりだ。

1コース1着率81.5% 3連対率94.4%
2コース1着率21.1% 3連対率73.0%
3コース1着率26.9% 3連対率72.2%
4コース1着率24.4% 3連対率59.8%
5コース1着率13.4% 3連対率52.8%
6コース1着率 6.3% 3連対率40.5

近年でいえば、2021年7月の芦屋オーシャンカップではセンターまくりを連発。優勝戦1号艇をゲット、「まだまだ若い人に負けていられません。スピードレースを心掛けていきたい」と宣言。以降の走りっぷりに顕著だ。

今年はここまで優勝5回。平和島の正月レースを皮切りに、多摩川(2月)、平和島(8月お盆レース)で勝ち、9月の常滑周年記念と唐津周年記念優勝につなげている。現在、賞金ランキングは4位(2023年10月15日現在)とグランプリは確定的だが、2年ぶり14回目の出場を有利に進めたいところだ。

「出ている出ていないではなく、レース力で勝ってくる…」とライバルレーサーが感嘆するベテランのエースが、きっと存在感を示すはずだ。


4262 馬場貴也

賞金ランキングは現在1位(2023年10月15日現在)。今年8月の福岡ボートレースメモリアルを制してからトップを走り、3年連続5回目のグランプリ出場を確定させている。
昨年の第37回グランプリは2着ゴール。黄金のヘルメット戴冠はならなかったが、MVP・最優秀選手に輝いている。正真正銘のトップレーサーだ。

「滋賀支部長をはじめ、レース以外の役をいただいたことで視野が広がりました。周りからは忙しいのに…と言っていただきますが、そのことが自分を強くしてくれたと思います」と言明。人物の大きさを印象づけたが、それはイメージではない。ボートを浮き上がらせ接水面積を最小にして自在旋回するウイリーターンは技術の粋といえるが、その秘技を隠さず伝道するところにもスケール感が表れている。ライバルであろうと、いいレース実現のためであればもれなく伝え、自分はもっと上を目指す心構えである。優しさと強さの融合は、こういう哲学からきている。

今年は、住之江近畿地区選手権(2月)、常滑一般戦(3月)、びわこ一般戦(5月)、びわこ一般戦(8月)、三国一般戦(8月)、福岡ボートレースメモリアル(8月)で優勝。常滑は2022年のボートレースダービーを制するなど相性がいい。その崇高なレースを堪能したいシリーズだ。


4502 遠藤エミ

今年8月のプレミアムGⅠ「第37回レディースチャンピオン」(津ボート)で優勝した遠藤エミは、2コースからコンマ14のスタートを決めまくりで3個目のGⅠタイトルを獲得した。レディースチャンピオンは2021年の浜名湖大会以来2回目の栄冠となった。

レース後「作戦は何も決めずいきました」と語ったが、一方で「今日は逃げが決まらない日だったので、絶対チャンスはあると思っていました」と振り返ったように、備えがあったからこその栄冠だったことは論を待たない。2022年3月のボートレースクラシック優勝がその証左だ。女子レーサーSG初Vの背景にあらゆることへの準備があったのだ。

10月17日時点で女子賞金ランキングは1位。クイーンズクライマックス出場はほぼ確定的だが、グランプリ出場の可能性も残っている。
常滑ダイヤモンドカップを取れば46位から20位台にジャンプアップが可能。昨年初出場したグランプリが消化不良に終わっただけにリベンジを果たしたいところだろう。

優秀女子選手に選ばれた2022年を振り返り、「自分より自分を信じてくれるファンがいる」「もっともっと上の舞台で活躍できるように力をつけていきます」と語った遠藤エミ。常滑初Vを大舞台で成し遂げたいところだ。